ネット・サービスは、その仕組み上、申し込みや解約などの諸手続きに人を介在させる必要がない。
ところが近年、こうした動きと逆行する事業者が増えてきている。
例えば、あるサービスに加入しており、使わなくなったので解約したいという場合、通常はネット上で解約の手続きを行う。
ところが、悪質なネットサービス事業者では、どこに解約ページがあるのかあえて分かりにくくして、利用者に解約させないようにする試みが行われている。
解約のページに行っても、そこからさらに煩雑な手続きを踏む必要があったり、最終的に電話をしないと解約できないといったものもある。
ひどい場合には、電話をかけさせられた挙句、コールセンターは繋がらず、いつまでたっても解約できないというパターン。
更にはネット・サービスであるにもかかわらず紙の書類の提供が求められ、書類に不備があるとして何度も突き返され、その間、利用料を支払い続けなければならないというパターンなどがある。
事業者の立場だけで考えれば、解約が遅れればその分、事業者の利益が増えるからだ。
解約してほしくないという気持ちはどこの事業者も同じ。
とは言え、ここまで来ると事業者による優越的地位の濫用となりかねない。
実際に行っていたのがPhotoshopなどで有名なAdobeである。
Adobeはがサブスク解約が難解&高額解約料隠蔽したとして米政府が提訴している。
FTCからは「Adobeは早期解約料の隠ぺいや解約のハードルを数々設けることで、ユーザーを1年間のサブスクリプションに閉じ込めた」との声明を発表している。
そして解約に手間取った消費者は、二度と同じサービスを利用しないだろう。
個別の事例としては小さいものかもしれないが、チリも積もればで、多くの事業者がこうした行為を繰り返せば、ブーメランとなって事業者自らがサービス停止に追い込まれるだろう。
NHKのネットサービス(ワンクリック詐欺)案も然り。
しかもこちらは間違って同意ボタンを押したとしても解約は一切できない。
ネットサービス事業者には、よく考えてもらいたいものである。
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